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穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。 漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。 漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。 戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。 ※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。 ほぼそのままの内容で掲載してあります。 |
6 子ども漫画05 |
項目 |
1.小山春夫 2.小島剛夕 3.平田弘史 |
●小山春夫 小山春夫も自分の著書として多くの作品を描いているはずだが、記憶に残る漫画はほとんどない。 しかし、小島剛夕と並び称されるくらい絵の上手な人である。 調べてみたら「名張りの狂忍」や「くの一無惨」などがある。 竹内つなよしや白土三平のアシスタントをしていたようだ。 項目に戻る |
●小島剛夕 小島剛夕といえば、なんといっても小池一夫原作の「子連れ狼」だろう。 原作もよかったが、絵がものすごくよかった。 数々の修羅場を生き抜いてきた拝一刀と一子大五郎の表情が、忘れられない。 拝一刀はどんなことにも心を乱すことはない。 たとえ大五郎が人質にとられようが、それで息子が死ぬのであればそれはその子の運命だ、と言う。 現代ならとんでもない父親だが、非情の世界を生きてきた人間の凄さが伝わってきたと思う。 そういえば、「冥府魔道」という言葉も「子連れ狼」で覚えた。 拝一刀が言う。 「我ら親子は、冥府魔道を生きておる…」 |
連載のラストで、拝一刀と柳生烈堂が雌雄を決する戦いをする。 あの場面はものすごい緊張感だった。 小島剛夕は、紙芝居から貸本漫画、そして青年コミック誌と、まさに戦後漫画の歴史のような生涯だった。 「首斬り朝」も素晴らしかった。 彼は、漫画家というより「絵描き」のような作家だったと思う。 たとえば、「漫画アクション」の扉絵に「子連れ狼」のカラーの絵がよく載っていたが、他の漫画家とは一線を画するレベルの高いものだった。 |
彼は、一時期白土三平のアシスタントをしていた。 たしか、生年月日が手塚治虫と同じだったと思う。 調べてみたら1928年11月3日だった。 間違いないと思う。 生年月日が同じといえば、石の森章太郎と松本零士も同じ誕生日だった。 1938(昭和13)年1月25日だった。 項目に戻る |
●平田弘史 平田弘史も、小島剛夕や小山春夫に勝るとも劣らない絵師であった。 上手いだけではなく迫力があった。 彼の描く刀は、まさに骨まで断ち切らんばかりの重量感だ。 また、平田弘史が描く武士は、筋肉の躍動感が素晴らしく、振り下ろす刀と筋肉が連動してものすごい迫力で迫ってくる。 表情も素晴らしい。 怖いくらいだ。 おそらく、武士とはあのような者だったのではないか。 そんな思いを抱かせてくれる画力だった。 |
平田弘史の「薩摩義士伝」や「弓道士魂」も迫力があった。 「ひえもんとり」という言葉を「薩摩義士伝」の中で初めて知った。 幕府の締めつけが厳しい薩摩の武士たちは、うっぷん晴らしに囚人を駆り立て、戦の訓練と称して狩りのようなことをしていた。 そして、囚人の心臓を掴み出した者が称賛された。 その「囚人の心臓」が「ひえもん」なのだそうだ。 項目に戻る |
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参考ページ→ 北斎漫画について 漫画の描き方講座 |
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