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漫画制作事務所が日本漫画の歴史についてご紹介します。

戦後の子ども漫画
HOME日本漫画の歴史> 日本漫画の歴史06「子ども漫画」06
穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。

漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。

漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。

戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。

※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。

ほぼそのままの内容で掲載してあります。
6 子ども漫画06
項目
1.横山光輝

2.石ノ森章太郎
●横山光輝
「伊賀の影丸」は「木の葉がくれの術」を得意とする忍者の物語だった。

木の葉を操る忍者影丸が甲賀忍者たちと忍法対決をする。

とくに、影丸を含めた仲間数人が、同じ人数の敵対する忍者たちと、それぞれがサシで忍法勝負するのが面白かった。

たとえば、催眠術を得意とする者同士の戦いは、お互いに催眠術をかけているつもりが、逆に相手の術にかかっていたりする。

勝負形式は剣道や柔道の団体戦と似ていた。

横山光輝は忍術をスポーツととらえていたのだろうか。

そういえば、「伊賀の影丸」は忍術対決以外に思い出されることがほとんどない。

おろらく、あの漫画は戦いの面白さでもっていたのであろう。

影丸の人間臭さがさほど伝わってこないのだ。
それに比べ、白土三平の漫画は、忍術の面白さだけでなく、キャラクターの性格がビンビン伝わってくる漫画だった。

とくに、忍者の非情さが、読者に強烈な右フックをかましてくれた。

「仮面の忍者赤影」は、当時人気のあった忍者物と、同じく人気の仮面物をミックスした漫画だった。

ただ、面白さの点では「伊賀の影丸」のほうがずっとよかったように思う。
「伊賀の影丸」や「仮面の忍者赤影」も面白かったが、彼の代表作はなんといっても「鉄人28号」だろう。

金田正太郎君が持っている、鉄人を操作するコントローラーはチャチかった。

しかし、鉄の塊のロボットが空を飛んでいく姿は迫力あったなぁ。

人気漫画だからカラーページが多く、夢中で読んだ記憶がある。
「鉄人28号」は、大戦中の日本軍が研究していたロボットを、謎の男が完成した。

鉄人はコントローラーで動くから、悪人が持てば悪人の自由に動き出す両刃の剣であった。

巨大ロボット漫画の元祖であり、当時は手塚治虫の「鉄腕アトム」と人気を二分していた。
そして、横山光輝の作品で忘れてならないのが「魔法使いサリー」だ。

あの漫画は、どちらかというとTVの方が面白かったように思う。

後年、中国の名著を漫画化したことでも有名だ。

「水滸伝」「項羽と劉邦」「三国志」「史記」など、活字で読むのは難解な多くの中国著書を、分かりやすい漫画で描いてくれた。

とくに、「水滸伝」は面白く、何度も読み返した。
横山光輝は豊島区千早町に住んでいて、以前、私が住んでいた所から近かった。

時々彼の家の前を通ったものである。

しかし、本人を見かけたことは一度もない。

仕事が忙しくて、外出もままならなかったのかもしれない。
SFやロボット物となると、どうしても手塚治虫が筆頭株になる。

しかし、他にも面白い漫画がたくさんあった。

たとえば、石の森章太郎の「リュウの道」や「サイボーグ009」、また、石の森章太郎のアシスタント経験のある永井豪の「バイオレンスジャック」「マジンガーZ」などが面白かった。

山上たつひこの「光る風」もよかったなぁ。

彼は、その後、「がきデカ」で一世を風靡することになるが、やっぱりSFが似合っていたように思う。

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●石ノ森章太郎
石ノ森章太郎より石森章太郎の名前が好きだ。

どうして改名したかわからないが、途中から「石ノ森」に代わってしまった。

石ノ森章太郎は、「「リュウの道」や「サイボーグ009」の他にも、たくさんのSF作品を描いた。

たとえば、「ミュータントサブ」「幻魔対戦(平井和正原作)」「仮面ライダー」「原始少年リュウ」「人造人間キカイダー」「イナズマン」などがある。

また、時代物でも懐かしい漫画がある。

「左武と市捕物控」だ。

あの漫画は石ノ森章太郎の独特の雰囲気が伝わってきて楽しかった。

漫画でありながらTVドラマのような雰囲気があった。
変わったところでは、SFと時代物がミックスしたような漫画も描いた。

手塚治虫の「スーパー太平記」のような漫画で、「変身忍者 嵐」というタイトルだった。

通常の忍者物なら、「変身」といえば衣装や人相を変えて化けることだった。

ところが、「変身忍者 嵐」は、仮面ライダーのように、まったく別ものに変身してしまうものだった。
ただ、この漫画はやたらと大ゴマが目立ち、しかも主人公の嵐が動く流線処理が多かったのを覚えている。

できたら、もっとしっかりと背景を描いて欲しかったなぁ。

石ノ森章太郎の漫画には、そうした荒さが目立ったように思う。

まぁ、それも「味」ということで懐かしい。
「怪傑ハリマオ」は、TVでも放映していて、子どもの頃は欠かさず見ていた。

でも、漫画の方が絶対に良かったと思う。

「怪傑ハリマオ」に限らず、どうも実写になると漫画より今一面白くない。

やっぱり、漫画は漫画本で見なきゃダメだよね。

ちなみに、私が中学の頃、漫画の勉強をしたのは、石ノ森章太郎の「漫画家入門」と「続漫画家入門」だった。

今でも大事にとってある。

私の漫画のバイブルである。

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●日本漫画の歴史
古からの日本漫画の歴史01
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」01
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」02
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」03
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」04
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」01
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」02
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」03
日本漫画の歴史04「貸本漫画」01
日本漫画の歴史04「貸本漫画」02
日本漫画の歴史05「新聞漫画」01
日本漫画の歴史05「新聞漫画」02
日本漫画の歴史06「子ども漫画」01
日本漫画の歴史06「子ども漫画」02
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日本漫画の歴史06「子ども漫画」19
参考ページ→
北斎漫画について
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