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穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。 漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。 漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。 戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。 ※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。 ほぼそのままの内容で掲載してあります。 |
6 子ども漫画09 |
項目 |
1.赤塚不二夫 2.土田よしこ 3.前谷惟光 |
●赤塚不二夫 「おそ松くん」や「天才バカボン」を知らない者は、日本人ではニャイのだ。 それくらい超有名なのだ。 6つ子が登場する「おそ松くん」は面白かった。 ただ6人とも同じ顔なので、ふきだしをちゃんと読まないと、誰がおそ松くんで、十四松くんで、トド松くんで、カラ松くんで、チョロ松くんで、一松くんだかわからないのだ。 横山光輝の「魔法使いサリー」にもよし子ちゃんの弟が3つ子で登場したが、同じ顔がたくさんあると、話を作るのは楽かもしれない。 もちろん、読んでも面白い。 |
赤塚不二夫は、ヒット作をたくさん描いている。 他にも、「もーれつア太郎」や「レッツラ・ゴン」などがある。 彼はギャグの天才である。 ところが、ギャグ漫画家でありながら、少女漫画としてデビューしていた。 りぼんで「ひみつのアッコちゃん」という漫画を執筆していたのだ。 非情に繊細なハートの持ち主と見た。 ちなみに、手塚治虫や石ノ森章太郎、横山光輝、ちばてつやなども、少女漫画でヒットを飛ばしている。 赤塚不二夫は、古谷三敏や長谷邦夫らとフジオ・プロを設立し、土田よしこやとりいかずよし、北見けんいちらが巣立っていった。 項目に戻る |
●土田よしこ 土田よしこがマーガレットで発表した「つる姫じゃ〜っ!」は驚いたよね。 少女漫画はさほど読んではいなかったが、この漫画だけは借りて読んでいた。 女性の漫画家でここまで描くかというくらい、過激で破壊的な笑いだった。 時代設定はおそらく江戸時代だろう。 普通、「お姫さま」といえば、可愛くて奇麗なイメージがある。 ところが、つる姫はちがう。 可愛くないし奇麗でもない。 しかも、なんとカッパハゲのいたずら好きのお姫さまだった。 そのつる姫が、城の内外で大騒動を巻き起こすという設定だった。 土田よしこの「わたしはしじみ!」も面白かったぞ。 項目に戻る |
●前谷惟光 ギャグ漫画の大先輩に、前谷惟光や山根赤鬼、山根青鬼、山根一二三らがいた。 前谷惟光の「ロボット3等兵」は、3等兵のロボットが主人公だった。 戦争物にしてはのんびりとした雰囲気の漫画だった。 さほど緊張感もなく「のらくろ」のような淡々として展開だ。 「のらくろ」は戦前からあった漫画だが「ロボット3等兵」は戦後漫画である。 戦後になって、少年クラブに連載された。 おかげで、「のらくろ」のように、戦争のために利用されることがなかった。 幸いだったと思う。 戦前に発表されていたら、間違いなく戦意高揚のために利用されたであろう。 |
ロボット3等兵は、ロボットだからロボットのような強力な兵器かと思いきや、人間となんら変わらないのである。 また、ロボットとしてストーリィの展開に絡んでくるわけでもなく、ただ単に単体としてロボットであるだけで、中味は人間と同じなのであった。 したがって、ドラマ的にも人間として扱われている。 腹が減ったら飯を食うし、昼寝もする。 ときには、川の中に立たされて人柱に使われたこともあった。 あるいは、爆弾を背負わされて、鉄条網に突撃したり、2等兵の下の3等兵(実在しない)として、道具のように非人間的な労働を強いられていた。 |
ギャグ漫画仕立てだから笑って読んでしまう。 しかし、戦争について考えさせられる漫画だった。 印象強い漫画だった。 前谷惟光の描く漫画はロボット物が多く、他にも「ロボットおまわりさん」「ロボットくん」「ロボット一家」「ロボット坊や」などがあった。 ロボット物ではないが、「火星の八ちゃん」という火星人を扱った漫画も描いている。 昔は、「火星人」といえば「タコスタイル」が定番だったので、八ちゃんもタコスタイルだった。 項目に戻る |
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参考ページ→ 北斎漫画について 漫画の描き方講座 |
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