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漫画制作事務所が日本漫画の歴史についてご紹介します。

戦後の子ども漫画
HOME日本漫画の歴史> 日本漫画の歴史06「子ども漫画」12
穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。

漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。

漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。

戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。

※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。

ほぼそのままの内容で掲載してあります。
6 子ども漫画12
項目
1.辻なおき

2.ちばてつや

3.ちばあきお
●辻なおき
戦後、力道山が空手チョップで活躍して、戦争で疲弊した国民に勇気と希望を与えてくれた。

私が子どもの頃は、まだ戦争の傷跡がそこかしこに残る時代だった。

そして、少年漫画にも戦争を扱ったものがたくさん掲載されていた。

たとえば、「のらくろ」や「ロボット3等兵」もそうだったが、ストーリィ漫画にも戦争を真正面から描く漫画があった。
「0戦太郎」や「0戦はやと」「0戦あらし」は大好きだった。

いずれも辻なおきの作品だ。

辻なおきはリアルで正確な描写で、ゼロ戦を描いていた。

0戦は世界最高の戦闘機として太平洋戦争初期は活躍したが、その後米軍のグラマン戦闘機などが登場すると、苦戦を強いられるようになった。

終戦近くには、特攻機として利用された。

こうした戦闘機物を読んでいると、主人公たちの活躍より、子供心になぜか胸が苦しくなったものである。
辻なおきはプロレス漫画もたくさん描いている。

たとえば、高森朝雄(梶原一騎)原作の「タイガーマスク」「ジャイアント台風」などがある。

「タイガーマスク」は虎のマスクを被った覆面レスラーだ。

自分が孤児院で育ったこともあり、孤児院を訪ねて子どもたちを励ましていた。

覆面で素顔を隠すということでは、「月光家面」や「まぼろし探偵」などと共通していた。

「タイガーマスク」はTV放映され、アニメとしても大人気だった。

「虎の穴」という組織名が印象に残っている。

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●ちばてつや
戦争物を描きながらスポーツ物を得意とする漫画家といえばちばてつやを忘れてはならない。

「紫電改のタカ」は何度読み返したかわからない。

台湾南部の高雄基地に、紫電改で編成された第701飛行隊があった。

そこに、やって来た少年飛行兵の滝城太郎が主人公だ。

彼は独特な戦法で数々の敵機を撃墜していく。

しかし、最後は特攻隊員として敵艦に向かって飛行していった。
最後がよかった。

涙が出てくるんだよね。

これを読んで、「戦争はイヤだ!」と本当に思ったものだ。

ちばてつやは少女漫画も描いていたし、スポーツ物もたくさん描いている。

どの作品も秀作で、大好きな漫画家のひとりである。

「おれは鉄兵」や「のたり松太郎」「あした天気になあれ」「あしたのジョー」「ハリスの旋風」などたくさんある。
「あしたのジョー」は、矢吹丈というボクサーを描いた漫画だった。

粗野だった矢吹丈がボクシングを始めることで、次第に技術が上がり人間的にも成長していく。

彼の繰り出す「クロスカウンター」は凄かった。

「のたり松太郎」は相撲の世界を描いた漫画で、親友の田中君とのやり取りが痛快だったなぁ。

酒が入ると別人になる田中君が、いかにも漫画的で楽しめた。

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●ちばあきお
ちばあきおが描いた「プレイボール」と「キャプテン」は面白かった。

ちあばおきおはちばてつやの弟だ。

いずれも野球漫画である。

この2本の漫画は、今までの野球漫画とはやや違っていた。

ものすごくドロ臭いが、登場人物ひとりひとりが丁寧に描かれていたのである。

絵そのものは、あまり上手くはなかった。

しかし、人間の内面を、丁寧に丁寧に描写する姿勢には感心させられた。
野球というのは勝負事である。

当然、勝ち負けがある。

しかし、勝ち負けだけにこだわるのではなく、勝ちと負けに至までのプロセスがいかに大事かということを、私はこの「プレイボール」と「キャプテン」で教えられた。

努力の先に結果があるのだ。

ちばあきおは、必死になって「人間」を描こうとしたのだと思う。
私はかつて、ちばてつや、ちばあきおのチームと、河川敷で野球の試合をしたことがある。

ちばてつや先生と一緒に映った写真は残っているが、ちばあきお先生と映った写真はない。

撮っておけばよかったと思う。

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●日本漫画の歴史
古からの日本漫画の歴史01
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」01
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」02
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」03
日本漫画の歴史02「戦前漫画と戦後漫画」04
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」01
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」02
日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」03
日本漫画の歴史04「貸本漫画」01
日本漫画の歴史04「貸本漫画」02
日本漫画の歴史05「新聞漫画」01
日本漫画の歴史05「新聞漫画」02
日本漫画の歴史06「子ども漫画」01
日本漫画の歴史06「子ども漫画」02
日本漫画の歴史06「子ども漫画」03
日本漫画の歴史06「子ども漫画」04
日本漫画の歴史06「子ども漫画」05
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日本漫画の歴史06「子ども漫画」18
日本漫画の歴史06「子ども漫画」19
参考ページ→
北斎漫画について
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