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漫画制作事務所が日本漫画の歴史についてご紹介します。

戦後の子ども漫画
HOME日本漫画の歴史> 日本漫画の歴史06「子ども漫画」01
穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。

漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。

漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。

戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。

※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。

ほぼそのままの内容で掲載してあります。
6 子ども漫画
●手塚治虫
手塚治虫は「新宝島」発表の後、「ロストワールド」や「メトロポリス」を発表し、昭和25年には「ジャングル大帝」を発表した。

さらに昭和26年には「アトム大使」を発表し、昭和27年には「鉄腕アトム」を発表した。

彼は、それまでの漫画の形式を一変させた。

オーソドックスで淡々とした旧来の展開形式から、ディズニー映画のような、モダンで緊張感のある構図とスピーディなコマの展開を駆使して、読者の支持を不動のものとしたの。

題材も斬新だった。

「ロストワールド」「メトロポリス」「来るべき世界」の3部作で、地球が宇宙の一部であり、やがては終末が訪れ、地球と人類が滅亡するという論理を展開している。

ごく当たり前の論理だが、彼の前に漫画化した人間がおらず手塚治虫が最初だった。

しかも、斬新な漫画テクニックで展開したから、子どもたちはすぐに飛びついた。

「ロストワールド」では、地球が大宇宙の中の一惑星にすぎないことを論じた。

そして、「メトロポリス」では、人間が自ら作ったロボットによって破壊されるということで、人間と科学の矛盾をついてきた。

さらに、「来るべき世界」によって、地球と人類の滅亡を表現したのである。

手塚治虫は、その後もたくさんの漫画を発表している。

「リボンの騎士」や「鉄腕アトム」「火の鳥」「ふしぎな少年」「ワンダー3」「魔神ガロン」「マグマ大使」など、数え上げたらキリがない。

もちろん、私は手塚漫画はほとんど読んでいる。

その中で、「ふしぎな少年」は、時間を止めたり動かしたりできる不思議な力のある少年の話で、「おれもできたらいいなぁ」と本気で思ったものである。

とくに、テストの時なんか便利だと思った。

時間を止めて、頭の良いやつの答案を書き写してから時間を動かせば、おれはいつだってトップになれるのに、そう思ったものである。
手塚治虫といえば「SF」と思いがちだが、かなりの時代物を描いている。

たとえば、「どろろ」や「新撰組」「丹下左膳」「スーパー太平記」などは面白かった。

晩年には「陽だまりの樹」ある。
「スーパー太平記」は、タイムマシンで江戸時代にやって来た夫婦が、子どもを江戸時繧ノ置き忘れていき、その子どもの活躍を描いたSF物だった。

子どもは、女スリお伝に拾われ、駒助と名づけられた。
同様に、時代劇とSFをミックスした作品で秀逸だったのが「火の鳥」である。

火の鳥の血を飲むと不老不死の体を手にするということで、大勢の人間が火の鳥の血を求めてやって来る。

しかし、ほとんどの者が血を飲む前に死んでしまう。

人間の永遠のテーマである生と死について描かれた名作だと思う。
大学時代に、私は寮生活していたのだが、友人が部屋にやってきて、私の本棚の「火の鳥」を読みたといって持っていってしまった。

「大事な本なので必ず返してくれ」と言って貸したのに、いつまでたっても戻ってこなかった。

しばらくたって、友人に、「あの本どうした」と聞くと、「誰かが持っていった。もうない」とのことだった。

それっきり「火の鳥」は行方しれずとなった。

もう50年たつ。

物の価値がわからんヤツは好かん。

この記事読んでいたら、あんときの「火の鳥」、無理だと思うが探して持ってこいよ〜。

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●日本漫画の歴史
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