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漫画制作事務所が日本漫画の歴史についてご紹介します。

戦前戦後の日本漫画
HOME日本漫画の歴史> 日本漫画の歴史03「なつかしい戦後の漫画」01
穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。

漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。

漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。

※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。ほぼそのままの内容で掲載してあります。
1なつかしい漫画
私は、戦後になって、手塚治虫によってそれまでの漫画の表現方法が現在のスタイルに移行した時期に生まれた。

おかげで、漫画雑誌が月刊誌から週刊誌の時代に移った時代を体験できたし、「なつ漫」の代名詞である「鉄腕アトム」や「月光仮面」などの名作が発表された時代を、リアルタイムで共生することができた。

●漫画は子供にとって不可欠だった時代
なにしろ、私の子ども時代を語るには、漫画は絶対不可欠な存在なのである。

それほど、漫画は身近であり、この歳になって昔を懐かしむときの時間の単位のようなものである。

たとえば、ご飯を食べながら「鉄腕アトム」を読んでいて、雑誌にみそ汁をこぼしたことがあった。

そのシーンを思い出すと、あの頃の自宅の様子や、使っていた食卓の形から乗っていた自転車の形や色、あるいはメーカーまで思い出す。

深緑色の丸石というメーカーの自転車だった。子供用の自転車で、父親が近所の自転車屋で買ってくれたものだ。

亡くなってしまったが、当時の父親の姿まで思い出される。

それも、父が若かったころの姿である。

●秘密基地
また、秘密基地で読んだ「鉄人28号」も懐かしい。

ある日、製材所の材木置き場にみんなで作った秘密基地に行ったら、材木ごと秘密基地が撤去されていた。

ついでに、置いてあった漫画雑誌やピストルのオモチャなど、すべてなくなっていたことがあった。

あの時の悔しかった気持ちが、今でも忘れられない。

「鉄人28号」を再読すると、あの頃の秘密基地の内部から、友だちの顔、一緒に食べスお菓子まで思い出される。

友だちが、当時としては珍しいチーズを持ってきて、一緒に食べたことがある。

生まれた初めて食べたチーズの味だった。

「なつ漫」とは、そういうものである。

理屈じゃない。自分の心の玉手箱を、そっと開けると、得も言われぬ懐かしい気持ちになる。

それは、誰にも見せない、自分だけの思い出である。

「なつ漫」は、そうした玉手箱の中に大事にしまってあるものである。

●大人は「漫画は悪書」と考えていた
おそらく、子ども時代に漫画を読んでいなかった人はいないだろう。

中には、「勉強一筋」で、漫画など見向きもしなかった、という人もいるかもし黷ネい。

そんな人は例外である。

もっとも、私が子どもの頃は、大人は「漫画は悪書」と考えていたらしく、「漫画ばかり読んでいないで勉強しろ!」とか、「漫画ばかり読んでいるとバカになるぞ!」と、よく親に叱られたものである。

ところが、漫画は決して悪書ではなく、むしろ、字は覚えるし、想像力は豊かになるし、ストーリィ作りなどは感覚的に覚えてしまう。

他にも、良い点はたくさんある。だいいち、漫画を知らないと、友だちとのコミュニケーションが図れない時代だったのだ。

現代なら、ファミコンがわからないと友だちと会話が成立しないのと同じである。

●ワクワクした漫画
なによりも、漫画が子供たちに受け入れられた要因は、当時の漫画は楽しく、かつワクワクする内容だったということである。

夢があった。

たとえば、「鉄腕アトム」や「月光仮面」「赤胴鈴の助」など、他にもたくさんあるのだが、どれも夢中になって読んだ記憶がある。

しかも、当時は月刊誌が主流で、こうした連載物の漫画は、面白いから買ってくると一気に読んでしまうのだが、続きを読むには一ヶ月待たなければならない。

だから、次号が出るまで、同じ漫画を何度も何度も読み返した。

ところが、親に数種類もの漫画雑誌を買ってもらう子どもは少なかった。

ほとんどが一冊である。

だから、一ヶ月の間に、友だち同士で回し読みするのである。

「ぼくら」を買っている子は、友だちの「冒険王」と交換して読み、「少年」を買っていたら「少年画報」と交換するといった具合である。

だから、当時の月ァ誌は全部読んでいた。

「ぼくら」「冒険王」「少年」「少年画報」「少年クラブ」などはすべて読んだ。

女の子も、同じようだったらしい。

「少女」や「少女クラブ」「なかよし」などを交換して読んでいたようだ。

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