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穏やかな画風が主流だった戦前の漫画だが、時代は軍国主義色が強まり、次第に軍の広告的な役割を果たすことになる。 漫画家の本意ではないにしろ、少年漫画までもが軍に利用されてしまった。 漫画にとっては暗い時代だったといえるだろう。 戦後になると、手塚治虫の登場と彼に刺激を受けた漫画家たちが、新たに創刊された子ども漫画雑誌で活躍していくことになる。 ※この記事は、とんぼスタジオ代表高橋が20年前に漫画制作事務所を立ち上げたころに書いた記事です。 ほぼそのままの内容で掲載してあります。 |
6 子ども漫画 |
●竹内つなよし 「月光仮面」と同じころ、大好きだったのが竹内つなよしの「赤胴鈴の助」だった。 江戸の千葉道場で修業する鈴の助の「真空ぎり」は何度も練習した。 当然だが無駄だった。 カマイタチみたいに剣を持たずに相手を倒すなんて、いくら修業したってできっこない。 それでも一生懸命練習したんだよね。 友達もみんな練習していた。 みんな赤胴鈴の助が好きだったから。 |
竹内つなよしもたくさんのヒット作を描いた。 「少年ジェット」や「コンドルキング」などは、当時大人気だった。 「少年ジェット」の主人公は少年だが、なぜかスクーターに乗って登場していた。 腰に拳銃までぶら下げて、である。 現代ならとんでもない不良少年ということで、即補導されてしまうだろう。 しかし、そこは当時の漫画だ。 読者は寛容だから、なんでも許してくれた。 私も、なんの疑問もなく読んでいた。 彼に憧れて彼のように生きようと思ったら、今頃はブタ箱の中かもしれない。 |
ちなみに、「少年ジェット」の敵役はブラックデビルといった。 なんとなく、プロレスラーの悪役のような名前だ。 そのブラックでビルは、変なイントネーションの日本語をしゃべる無国籍のキザな悪党だった。 持っているステッキの先から花火を出していた。 |
愛犬「シェーン」がよかった。 「シェーン」といえば、映画の「シェーン」を思い出す。 おそらく、愛犬「シェーン」は西部劇の「シェーン」からとったものだったろう。 当時は、犬を扱ったアメリカTVドラマが人気だったから、竹内つなよしも、「犬を出したら人気が出るかも」と思ったかもしれない。 TVドラマ「名犬リンティンティン」は、私が大好な番組だった。 なにしろ、犬の出る番組や映画が多かった。 |
「コンドルキング」も竹内つなよしの作品である。 主人公の武器がトランプ投げだった。 子どもの頃、トランプ投げを練習したが、ものすごく難しかった。 もっとも、トランプ投げより、その後手裏剣投げに夢中になったから、トランプ投げの練習はすぐにやめてしまった。 だけど、花札じゃなかったところがオシャレだよね。 ペラっとしたトランプを狙った的に当てるのはすごく難しかった。 |
●堀江卓 堀江卓の「矢車剣の介」も懐かしいなぁ。 堀江卓は、当時としてはリアルな時代劇を得意としていた。 劇画のようなタッチだった。 その代表格が「矢車剣の介」である。 他に「隠密剣士」や「伝馬天平」などがあった。 |
また、堀江卓は、時代劇以外の漫画もたくさん描いている。 たとえば、「スパイキャッチャーJ3」などがそうだ。原作は都築道夫だった。 他にも、「少年ハリケーン」などがある。 そういえば、「少年ハリケーン」にも犬が出ていた。 |
しかし、個人的には時代劇が好きだった。 堀江卓には時代劇があっているように思える。 どうも、堀江卓が描く現代物は、歌舞伎役者が現代劇を演じているように思えた。 |
川内康範が原作で、堀江卓が漫画を描いた「太陽仮面」というのもあった。 それにしても、川内康範は「…仮面」が好きだったなぁ。 当時は、タイトルに「少年」とか「仮面」などとつくのが多かった。 |
TVで「月光仮面」を実写放映したとき、主役を演じたのが大瀬康一だった。 そして、同じくTVで「隠密剣士」の主役を演じたのも大瀬康一だったなぁ。 大瀬康一は「ジャガーの眼」でも主役を演じていた。 彼はカッコよかった。 |
加太こうじの「黄金バット」は、後年アニメ化されてからのほうが印象深い。 どう見ても正義の味方には見えないドクロの顔。 それとあの笑い声。 「わははははははは…」 今でも、「黄金バット」といえばアニメの笑い声を思い出す。 敵役は「ナゾー」といって、別段どうってことのない名前だ。 「なぞ」を「ナゾー」にしただけだったと思う。 安易だよね。 |
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参考ページ→ 日本漫画の歴史 北斎漫画について 漫画の描き方講座 |
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